絵
B4くらいのスケッチブックを持っている。
岡本太郎の「今日の芸術」を読んだので当然「よォし絵でも描くか」となったんだけど、
スケッチブックの白紙の広さに立ち尽くしてしまった。
稀に絵を描くときはだいたいパステルで描くので塗りつぶすのが楽なんだけど、
今日使ったのはクレヨンで、空を塗るにも容易じゃないのだ。
いつも描きたいことは特に思い当たらないので、とりあえず好きな色を塗り始めて、その跡が何かに見えたタイミングでその何かに向けて舵を切っていくようにしている。
クレヨンで同じことをしようとした。
4分の1くらいをそら色で塗りつぶして、手が疲れてしまった。
何にも見えないし、楽しくもなかった。
こういうとき、コブクロの虹の歌詞がいつも浮かんでくる。あんまり良い気分ではなく。
3色のクレヨンでなんだって描けたのに
100色の絵の具目の前に被写体が見当たらない
まったくその通りだとも思うけど、
いやでも子どもの頃から純粋でなまなましい絵なんか描けてなかったはずだ。
視覚の仕組みもわからず、何かの記号しか描けず、何を描いてもこんなものが描きたいんじゃないってずっと思ってた。3色のクレヨンでなんだって描けた人はいまもなんだって描けるんだろうって少し思ったりする。
何を描いても違和感だけが確かで、いつも少し苛立っていた。
いまのところ、少しだけ塗って投げ出してしまったページの数々が自分の絵だと言う他ない。
紙は白すぎる。
木や石や壁に書いてみたい。